排除のないクリスマスを

柳本 昭神父(奈良ブロック担当司祭)

今年の9月から、カリタスジャパンと日本カトリック難民移住移動者委員会は合同で「排除ZERO(ゼロ)キャンペーン〜国籍をこえて人々が出会うために〜」を始めました。これは、教皇フランシスコの「誰一人として排除されたり、存在を無視されたりしてもよい人はいない」という呼びかけに応え、国際カリタスに協力して取り組むものです。

先日の衆議院選挙の際に「排除」という言葉が話題を集めました。その際、多くの人々は「排除」という言葉にいいイメージを持たなかったようです。それは、やはり自分が排除される立場だったら、という思いがあったからではないでしょうか。しかし、その一方で、外国籍の人々や弱い立場の人々が日本社会から排除されようとしている事実には無関心であるように思います。

先日、大阪で難民移住移動者委員会の全国研修会が行われました。基調講演は難民支援のために奔走しておられる弁護士、駒井知会さんのお話。命からがら逃げて来た人々に対して日本の法務省の難民認定の壁は非常に厚く、対応も冷たいという実態があります。二日目には生野区の朝鮮初級学校と民族教育を取り入れている公立小学校を見学しました。韓国・朝鮮にルーツを持つ人々が経験してきた大きな苦労。それは過去のものでなく、ヘイトスピーチやインターネットでの中傷など、現代でも形を変えて続いています。一方、コリアタウンでは日本人商店主が韓国から来た人々と協力し、さびれていた商店街を観光客でいっぱいにすることができたということも伺いました。

クリスマスの聖家族を思い起こしてみましょう。彼らは、遠い地方からローマ皇帝の命令によってベツレヘムにやってきた旅人でした。しかし、彼らのために泊まる場所はありませんでした。馬小屋を提供してくれた人は親切だったのか、意地悪だったのかは解釈が分かれるところですが、わたしは遠くからの身重の旅人のために何とかしようと親切に努力してくれた結果だと思います。そのおかげでイエスは無事生まれることができたのです。旅先で聖家族は排除されなかったのです。

研修会最後のミサで前田大司教は「排除ゼロ 一点しぼり クリスマス」と詠まれました。クリスマスで誕生をお祝いする救い主は排除のない世界を実現するために来られた、という意味だそうです。各教会では馬小屋を飾られることと思いますが、馬小屋の聖家族こそは排除のない世界のしるしだといえるでしょう。

柳本神父
11月23日、難民移住移動者委員会の分科会において進行係を務められる柳本神父

(奈良ブロック8教会共通原稿)



























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